持株比率10%の株式を、純資産方式による株式評価額以上で売却した事例

※ 弁護士の守秘義務及び、日本弁護士連合会「弁護士等の業務広告に関する規程」第四条第四号にしたがい、掲載にあたり依頼者が特定できないよう、また依頼者の利益を損うおそれがないよう実際の事例を一部加工しております。
   

事例の概要

 親族が経営している会社につき、経営に参画していない依頼者が約10%の持株比率で株式を有していた。
 依頼者は株式の売却を希望して当事務所に依頼した。

会社の概要

業種製造業
規模資本金   1億円未満
純資産   50億円以上
年間利益  5億円以上
配当    実施せず

株主の状況、株主構成

依頼者が10%の株式を保有している。
現経営者が50%以上の株式を保有している。

交渉の経過と解決結果

(1)当事務所が受任後、株式発行会社の社長に買取の打診をしたが、会社の顧問税理士同席の上、相続税評価額である類似業種比準方式による評価額である2億円(純資産方式(約10億円)の約5分の1)でしか買い取ることができないとの一方的主張がなされた。

(2)当事務所は、株式の時価評価額を算定するため会計帳簿の閲覧請求をしたが、会社は閲覧請求に応じなかった。
 ただし、社長は、株式の買取について柔軟に協議をしたいという姿勢に軟化した。

(3)当事務所としては、純資産方式による評価額(約10億円。なお、資産の殆どは預貯金を含む金融資産が占めており、上記評価額は入手済の決算書等からの推定値)の50%を最低限の目標取得額として交渉した。

(4)その後、社長と粘り強く協議し、先方より当初提示額から6倍となる金額(12億円)で売却を合意した。

(5)本件は、相続税評価額(類似業種比準方式)からは単純に6倍、また純資産方式による評価額(10億円)との比較でも同評価額をも大きく上回る結果で売却できた事例である。

戦い終えた担当弁護士のひと言

 当初は株式発行会社の顧問税理士は、売買価格は相続税評価額と同一でなければならないという法律上明らかに誤った主張を展開していました。
 交渉の席でその誤りを指摘しても持論を一切変えない頑なな姿勢であり、まともな交渉をすること自体が困難と判断されました。
 そのため、当方より正当な価格を適正に算定するため会計帳簿の閲覧を請求しましたが、会社は顧問税理士の意見を必ずしも採用せず、訴訟等により紛争を拡大するのではなく、話し合いで妥当な落としどころを探りたいとの本心であることが読み取れたのです。

 当方において、明らかに不合理な主張をする先方のアドバイザー(税理士)の意見に拘泥することが紛争を徒に長期化・紛糾化することの非を会社側に説き、会社側も問題解決に前向きな姿勢となったことが、結果として協議による早期解決と、株式を売却する株主の立場にも十分に配慮された価格による決着となりました。



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