経営方針をめぐる意見の相違を機に時価純資産価額をベースとして株式を売却した事例

※ 弁護士の守秘義務及び、日本弁護士連合会「弁護士等の業務広告に関する規程」第四条第四号にしたがい、掲載にあたり依頼者が特定できないよう、また依頼者の利益を損うおそれがないよう実際の事例を一部加工しております。
   

事例の概要

 創業者の相続を機に株式が複数のグループ(A,B,C)に分散している会社において、グループ間で経営方針をめぐり意見の相違がみられるようになったため、会社の分割等が検討されていた。
 その結果、Aグループが株式を他のグループもしくは会社に売却する方向で協議することとなり、株式の売却交渉を当事務所において受任した。

会社の概要

業種 飲食業
規模 資本金    ~1000万円
簿価純資産  1億円~5億円
年間売上   1000万円~1億円
年間利益   1000万円~1億円
配当     実施せず

株主の状況、株主構成

A,B,Cのグループが概ね1/3の割合で株式を保有している。

交渉の経過と解決結果

(1) 当事務所に依頼する前に、すでにグループ間で株式の買取価格ないし評価額についてやり取りがなされていたが、過去の相続税評価額(1株あたり約6000円)をベースとするものであり、会社の価値を適正に反映したものではなかった。

(2) 当事務所において対象株式の適正な価格を試算したところ、現時点の相続税評価額(1株あたり約8000円)、簿価純資産方式による価格(1株あたり約1万円)に対して、不動産の簡易査定に基づく時価純資産方式による価格は1株あたり約2万5000円と見込まれた。

(3) 不動産の簡易査定に基づく時価純資産評価は上記のとおりであったが、対象会社の資産は不動産が大きな割合を占めており、その時価評価次第で対象株式の評価額に大きな影響を与えることが予想された。
 そこで、他のグループに対し、一部の不動産の売却により株式の買取資金の原資とすることや、実際の売却価格を当該不動産の時価とした上で株価の買取価格に反映させることを求め、その旨の合意を取り付けた。

(4) その後,当該不動産の売却手続を実行するとともに、株式の適正な買取価格を算定したところ,時価純資産方式による評価は1株あたり約5万円となり、相続税評価額を大幅に上回る時価純資産方式を前提とする金額(1株あたり約5万円、総額約5億円)でAグループの保有する株式の全てを会社に売却することで本件が解決した。

戦い終えた担当弁護士のひと言

 対象会社所有の不動産の実際の売却価格に基づき、時価純資産方式による株価評価を行うという関係当事者の合意を取り付けたことで、勝利を決定付けたケースです。



弁護士法人
朝日中央綜合法律事務所への
ご相談受付はこちら
お電話でのご相談受付
0120-038-807
受付時間 9:00~17:00(土日祝休)
メールでのご相談受付
365日・24時間受付中
0120-038-807
ご相談受付