依頼者は遠い親族からの相続で株式を取得したが、当該会社とはまったく関わりがなかったため保有していても仕方ないということで、株式を手放したいとの意向を有していた。
業種 | 製造業 |
規模 | 純資産 40億円 売上高 300億円 配当 毎年額面100円につき5円。 直近の1株当たり当期純利益は70円。 |
発行済株式総数500万株、うち10万株(2%)を依頼者が保有。
筆頭株主は30%を保有する関連企業。金融機関や主要取引先・持株会が50%。
従前、依頼者が会社に買取りを依頼した際には、会社からは継続保有を求める旨の回答がなされており、会社が買い取ることには後ろ向きな姿勢であった。そこで、会社に買取りを求めるのではなく第三者に株式を売却することも選択肢に入れる方針をとることとした。
まずは、当事務所において、各評価方式に基づく株価を算定して併用割合や査定のレンジを定めた。株式の評価額は純資産方式で1株当たり700円(2%で総額7000万円)、配当還元方式で1株当たり50円(2%で総額500万円)であった。
その上で、当グループの過去の同種案件で買取実績のある個人投資家に売却することを前提に弁護士より会社に接触し、ある株主が株式を手放したいという意向であるが個人投資家への売却の際には速やかに譲渡承認がなされる見込みであるか問い合わせたところ、外部の個人投資家ではなく会社関係者への売却をお願いしたいとの回答がなされた。
その後、会社側と複数回の協議を重ねた結果、最終的には1株当たり200円(2%で総額2000万円)で持株会に譲渡することで合意が成立した。
依頼者としては持て余していた株式を現金化できたことで満足いく結果となった。
売却先を選定した上で会社側と交渉したことが勝因のすべてです。
売却先を選定した上で会社側に譲渡承認をするかと迫ったことで、会社側の買取申出を引き出し、また、このような交渉の結果として、合理的な買取価格を引き出しました。
会社との買取交渉では漠然とした交渉ではなく、具体的な第三者買い手を選定した上で交渉しなければ、依頼者の満足する結果は得られないのです。