前社長が現社長・会社と決別し、保有株全部を投資ファンドに売却した事例

※ 弁護士の守秘義務及び、日本弁護士連合会「弁護士等の業務広告に関する規程」第四条第四号にしたがい、掲載にあたり依頼者が特定できないよう、また依頼者の利益を損うおそれがないよう実際の事例を一部加工しております。
   

事例の概要

 依頼者は対象会社の前代表取締役社長であり、筆頭株主であるが、現代表取締役社長の画策により代表権のない会長職に就くこととなり、現社長との不和が決定的となったことから、現社長及び当該会社との決別を決意し、依頼者とその家族で保有するすべての株式の売却の相談・依頼を受けた事案。

会社の概要

地方に本店及び工場があり、特殊技術を有して製造業を営む老舗企業。
 海外にも販路があり、業績は足下も将来見通しも好調で、純資産も潤沢。

業種製造業
規模資本金   3000万円
年商    30億円強
純資産   74億円
利益    2億円
配当    配当5円/株

株主の状況、株主構成

 株主構成は創業者の同族の株主のみからなり、依頼者とその家族で保有する株式の議決権割合は4割強。現社長とその家族で保有する株式の議決権割合は5割弱。

交渉の経過と解決結果

 まず当事務所グループの公認会計士による株価試算を行って、依頼者保有株式の価値の目安を把握した上で、会社に対して会社または現社長による買取りの交渉を申入れした。(なお、公認会計士の株価試算では1株あたり、DCF方式の場合で2万2155円、簿価純資産方式の場合で1万5164円、類似業種比準方式の場合で3560円、ゴードンモデルの場合で98円であり、依頼者とその家族で保有する株式の議決権割合は過半数には届かないものの、4割強を占める大株主グループといえること等から、DCF方式と簿価純資産方式をそれぞれ5割の割合で併用した1株あたり1万8659円程度を目標とした。依頼者の保有する株式は13万4028株であったことから、売却金額は25億円程度を目標(受入可能金額を15億円程度)とした。)

 しかし、現社長の後継者の問題から、会社または現社長が依頼者保有株式を買い取る意思はなかった。依頼者が現社長及びその家族の保有する株式を買い取ることも考えられたが、そのためには莫大な費用を要することから、依頼者保有株式を適正価格で買い取ってくれる第三者を探すこととなった。

 依頼者としては同業他社にその保有株式を売却することはしたくなく、仕入先や取引先に売買を打診することも検討したが、業界内に情報が流布するリスクを考慮し、経営陣と友好的な関係の構築を期待できる投資ファンドへの売却交渉を優先することとした。

 可能性のあるいくつかの投資ファンドの中から、過半数に届かない株数の株式への投資にも積極的で、かつ、依頼者保有株式を適正に評価してくれる投資ファンドと交渉を行った結果、当該ファンドに依頼者の満足できる1株1万3247円、約18億円で売却することとなった。

 ファンドによる価格査定等に必要な情報を提供するために、会社から適宜、必要な情報提供等の協力を得る必要があったが、ファンドとの売買交渉に先立って行った現社長との交渉によりその素地が形成されていたことが役立った。

戦い終えた担当弁護士のひと言

 このような事案では、最も適切な第三者買い手の選考に成功することが勝敗を決するすべてといえます。
 最も適切な第三者買取先を選考して、買い手が適切な買値をつけるために必要な情報を入手して交付したことが成功を決定づけました。



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