非上場株式につき株式買取請求権を行使し、株式買取価格決定手続における和解により現経営者に同株式を売却した事例2

※ 弁護士の守秘義務及び、日本弁護士連合会「弁護士等の業務広告に関する規程」第四条第四号にしたがい、掲載にあたり依頼者が特定できないよう、また依頼者の利益を損うおそれがないよう実際の事例を一部加工しております。
   

事例の概要

 依頼者は対象会社の株主であるが、対象会社が吸収合併契約の承認を目的事項とする株主総会を招集したことから、これに反対する旨を通知したうえで株主総会において反対し、所定の期間内に株式買取請求を行った。

 その後、買取価格につき協議が成立しなかったことから、地方裁判所に株式買取価格決定を申し立てた。

会社の概要

業種 製造業
規模 簿価純資産 約32億円
売上高    約3億円
当期純利益  約1億円
配当 なし

株主の状況、株主構成

依頼者が約8%の株式を保有している。
現経営者及び関係会社が、合計80%超の株式を保有している。

交渉の経過と解決結果

 株式買取価格決定手続において、買取価格につき、当方は時価純資産方式により約3億5000万円、相手方は時価純資産方式:類似業種比準方式=3:1で勘案した約1億5000万円を主張したところ、買取価格の鑑定を行う前に和解が成立し、非上場株式を依頼者の想定を超える価格で売却することができた(買取価格約2億5000万円)。

戦い終えた担当弁護士のひと言

 吸収合併に反対し、所定の手続を履践して会社法第798条に基づく株式買取価格決定手続に持ち込んだことが、勝因のすべてです。
 一般に、非上場株式を適正な価格で売却するためには、裁判所における鑑定人による評価額を得ることが有効ですが、本件では鑑定人による評価を避けたい対象会社が、鑑定を実施する前に適正な水準の価格による和解を受け入れたことから、紛争の早期解決による利益等を考慮し、鑑定を実施することなく和解を成立させました。
 非上場株式の最高額売却を意図する株主は、このような会社法上の機会を逃さないことが大切です。



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