弁護士監修の各種書式をご紹介しています。
当サイトに掲載している情報は、すべて参考として紹介しているものです。これらの情報をご利用になることで発生したトラブルや損失に対して、当事務所では一切責任を負いません。
前略
私は、貴社の株式○○株を有する株主です。
令和○年○○月○○日開催の貴社臨時株主総会において、第○○号議案「株式交換の件」についての株式移転契約書が承認可決され、貴社が、新たに設立する△△△△株式会社の完全子会社となるべく、貴社株主が保有する貴社の株式を新設する△△△△株式会社に移転し、その代わりに貴社株主が△△△△株式会社の株式の割当てを受けることになりました。
私は、上記株主総会に先立ち、令和○年○○月○○日付通知書をもって、上記議案に反対の意思を通知し、かつ、同株主総会においても反対いたしました。
よって、私の有する上記○○株につき、公正な価格での買取を請求いたします。
以上のとおりご通知致します。
草々
令和○○年○○月○○日
○○市○○町○丁目○番○号
○○○○
○○市○○町○丁目○○番○○号
○○○○株式会社
代表取締役○○○○殿
解説
(株式移転)
株式移転とは、100%親子会社を創設するための制度であり、100%親会社となるべき会社を新たに設立し、100%子会社となるべき既存会社の株主が保有する当該会社の株式と、100%親会社となるべき新設会社が発行する株式とを交換することをいう。
すなわち100%子会社となるべき会社の株主は、従来保有していた当該会社の株式を100%親会社となるべき新設会社に移転する対価として、当該新設会社の株式を新たに取得することとなる(会社法第774条)。
株式移転制度は持株会社の創設による企業再編を目的として規定された。
(株式移転承認の株主総会特別決議)
株主総会における株式移転契約書の承認決議には、原則として総株主の議決権の過半数ないし定款に定める議決権の出席を要し、かつ出席議決権の3分の2以上の賛成を要する(会社法第804条第1項、第309条2項12号)。
株式移転が会社の株主構成を変動させるという重大な効果をもたらすものであって、特に株主の承認を得る必要があるためである。
(反対株主の株式買取請求権)
株式移転は、会社の株主構成に重大な変動を与えるものであり、自身の経営判断によりこれに反対する株主を保護する必要性も否定できない。
そこで反対株主は、株式移転をする旨の通知又は公告のあった日から20日以内に、消滅株式会社等に対し、公正な価格で株式を買い取ることを請求する権利が認められている(会社法第806条第1項、第3項、第4項、第5項。本書式例は、その請求通知書である。)。
反対株主は、この株式買取請求権を行使する前提として、株主総会に先立ち、株式移転に反対する意思を書面で通知し、かつ、株主総会においても反対しなければならない(会社法第806条第2項第1号)。