弁護士監修の各種書式をご紹介しています。
当サイトに掲載している情報は、すべて参考として紹介しているものです。これらの情報をご利用になることで発生したトラブルや損失に対して、当事務所では一切責任を負いません。
兼株式買取請求通知書
○○県○○市○○町○丁目○番○号
○○○○株式会社
代表取締役 ○○○○ 殿
私は、貴社の株式○○株を有する株主でありますが、貴社に対し、以下のとおり通知します。
第1 株主総会議案への事前反対通知
貴社より、来る令和○年○○月○○日午前○○時、貴社本店にて開催される臨時株主総会において、定款を変更し、株式譲渡制限に関する規定を設定する旨の議案を上程するとの株主総会招集通知書を受け取りました。
しかし、私は上記議案に反対しますので、貴社に対し、この旨事前に通知します。
第2 株式買取請求
私は、第1の事前の通知に加え、上記臨時総会においても私が上記議案に反対したにもかかわらず、当該議案を可決する旨の決議がなされた場合には、私の所有する下記株式を、公正な価格にて買い取りいただきますよう請求いたします。
1 ○○○○株式会社 株式○○株
内訳 普通株式 ○○株
優先株式 ○○株
令和○○年○○月○○日
○○県○○市○○町○丁目○番○号
○○○○株式会社 株主
○ ○ ○ ○
解説
(株式の譲渡制限に関する規定の概要)
株式は原則として自由に譲渡することができる(会社法第127条)。
しかし、経営の安定を保持するため会社にとって好ましくない者が株主となることを防止したいとの要請にこたえるため、譲渡による株式の取得について会社の承認を要する旨の定款の定めを設けることが認められている(会社法第107条第1項柱書、第1号、同法第108条第1項柱書、第4号)。
この場合、譲渡を承認する機関は、原則として取締役会(取締役会非設置会社では株主総会)であるが、定款で別の承認機関(例えば代表取締役)を定めることもできる(会社法第139条第1項但書)。
また、あらかじめ定款で定める一定の場合には、会社が譲渡承認をしたものとみなすことも可能である(会社法第107条第2項柱書、第1号ロ、同法第108条第2項柱書、第4号)。
さらに、会社が譲渡の承認をしない場合であって承認請求者が請求する場合には、会社自らが当該株式を買い取ることが原則である(会社法第140条第1項)が、あらかじめ買取人を指定することもできる(会社法第140条第4項)。買取人の指定は、原則として取締役会(取締役会非設置会社では株主総会)の決議によるが、定款で別段の定めをすることも可能である(会社法第140条第5項)。
(反対株主の買取請求)
株式譲渡制限の定めを設ける定款変更をする場合、次に掲げる株主は、会社に対し、効力発生日の20日前から前日までの間に、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することができる(会社法第116条第1項柱書、第1号、第2項、第5項)。
①当該株主総会において議決権を行使することができる株主にあっては、当該株主総会に先立って、会社に対し、株式譲渡制限の定めを設ける定款変更に反対する意思を通知し、かつ総会においてこれに反対した株主
②当該株主総会において議決権を行使することができない株主
ただし、定款変更決議は、効力発生日の特段の指定がない場合、決議と同時に効力が発生する(また、効力発生日を指定する場合も「株主総会終了時」など、即日効力が発生する旨指定することも多い)。そのため、決議後に買取請求を行ったのでは、会社法第116条第5項に定める期間制限(効力発生日の20日前から前日まで)に抵触する可能性がある。
かかる場合には、事前の反対通知と、(株主総会での反対、総会での議案可決を停止条件とする)買取請求通知を同時に行う方法が考えられる(本書式例はこの通知書である)。