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前略 今般、私共○○○○(譲渡人)と○○○○(譲受人)は、令和○○年○○月○○日、○○○○(譲渡人)の所有する貴社の普通株式○,○○○,○○○株を、○○○○(譲受人)に譲渡いたしました。
つきましては、会社法第137条に基づき、上記譲渡につき、本書をもって、貴社の承認を請求いたします。
また、貴社に対し、株主名簿の名義書換を請求いたします。
譲渡の目的である株式の株券番号は○○の○○○○ないし○○の○○○○です。
上記株券は、貴社に対し、本通知書と同時に発送する予定です。
なお、譲渡につき不承認の場合は、貴社が買い取るか、会社法140条第4項に規定する指定買取人をご指定下さい。
令和○○年○○月○○日
(通知人)
○○県○○市○○町○○○番地
(譲渡人)○○○○
○○県○○市○○町○○○番地
(譲受人)○○○○
○○県○○市○○町○丁目○番○号
○○○○株式会社
代表取締役○○○○殿
解説
全部又は一部の株式につき、譲渡による当該株式の取得に会社の承認を要する(このような株式を、譲渡制限株式という。)旨の定めを定款に設けている会社において、株主が会社に対して株式譲渡の承認を請求し、承認しない場合には株式の買取を求めるという株主の投下資本回収の手段が規定されている(会社法第2条第17号、第107条第1項第1号、同条第2項第1号、第108条第1項第4号、同条第2項第4号、第136条以下)。
譲渡承認機関は取締役会設置会社では取締役会、取締役会を設置しない会社では株主総会となるが、定款で別の承認機関を定めること(例えば、承認機関を代表取締役としたり、取締役会設置会社においても承認機関を株主総会としたりすること)もできる(同法第139条第1項)。
本書式は、株主が譲渡制限株式を会社の承認を得ないで譲渡した場合に、株式取得者が株式譲渡者と共同して、会社に対し、当該株式の取得の承認を請求するとともに、承認しない場合には、その株式を買い受けるべき者を指定すべきことを請求する通知である(同法137条、138条第2号)。
会社法137条に基づく譲渡承認請求の場合、①当該請求をする株式取得者の取得した譲渡制限株式の数(種類株式発行会社にあっては、譲渡制限株式の種類及び種類ごとの数)、②①の株式取得者の氏名又は名称、③株式会社が承認をしない旨の決定をする場合において、当該株式会社又は会社法第140条第4項に規定する指定買取人が②の譲渡制限株式を買い取ることを請求するときは、その旨を明らかにしてしなければならない(同法138条第2号)。
また、株式取得者が譲渡承認請求を行う場合には、原則として、株式取得者と当該株式の株主として株主名簿に記載された者とが共同で行わなければならないが、株券発行会社において株券を提示して譲渡承認請求を行う場合など一定の場合(会社法施行規則24条)には、株式取得者が単独で譲渡承認請求を行うこともできる(同法137条第2項)。
なお、譲渡承認の請求と株主名簿書換の請求(同法133条)を同時に行うことが可能であり、手続として簡便であることから、本書式もかような場面を想定したものである。
このような譲渡承認請求があった場合には、会社は、譲渡を承認するか否かの決定内容を、譲渡等承認請求者に通知し(同法第139条第2項)、会社が譲渡を承認しない旨の決定をしたときは、会社自ら当該株式を買い取るか(同法第140条第1項)、他に譲渡の相手方(指定買取人)を指定する(同条第4項)ことを要する。
なお、会社が承認請求の日から2週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)以内に承認の可否についての通知をしない場合、会社は譲渡を承認したものとみなされる(同法第145条)。譲渡を承認しない旨を通知してから40日(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)以内に、会社が株式を買い取る旨の通知をしないとき(ただし、指定買取人が定められ、指定買取人が、譲渡を承認しない旨の通知から10日(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)以内に買い取りの通知をしたときを除く。)も同様である。いずれの場合も、株式会社と譲渡等承認請求者との合意により別段の定めをしたときは除く(同条ただし書き)。