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前略 私は、貴社普通株式○○株を保有しておりますが、現在、当該株式の売却を検討しております。
つきましては、貴社の下記書類につき閲覧及び謄写いたしたく、本書をもって請求いたします。
(閲覧等を求める理由)
自己又は他の株主に関する株主名簿の記載が正確であるか否かを確認するため。
3 以下の書面を含む会計帳簿及びこれに関する資料 【※以下は一例】
① 総勘定元帳
② 現金出納帳
③ 得意先元帳
④ 売掛金台帳
⑤ 買掛金台帳
⑥ 固定資産台帳
⑦ 保有有価証券明細書
(閲覧等を求める理由)
保有株式の売却にあたり株式の適正な価格を算定するため。
令和○○年○○月○○日
(通知人)
○○県○○市○○町○○○番地
○○○○
○○県○○市○○町○丁目○番○号
○○○○株式会社
代表取締役○○○○殿
解説
1 非上場株式を保有する株主が、当該株式の売却を検討するに当たっては、その前提として、当該会社の株主構成や当該株式の適正な評価等を確認する必要がある。
この点、会社法上、株主の権利として認められている「株主名簿の閲覧・謄写請求」をすることで株主構成等を把握することができるし、同様に「計算書類等の閲覧・謄本交付請求」、「会計帳簿の閲覧・謄写請求」を行うことで、株式の評価をする上で有益な資料を収集することができる。
本書式は、株主が会社に対し、上記の請求をする際の文例である。
2 株主は、株式会社の営業時間内は、いつでも、株主名簿の閲覧または謄写の請求をすることができる(会社法第125条第2項)。
もっとも、株主が株主としての資格と離れた個人的な利益のために株主名簿の閲覧・謄写請求をすべきではないことから、一定の拒絶事由(同条第3項各号)に該当する場合、会社は、同請求を拒むことができるとされている。
そして、株主が株主名簿の閲覧または謄写の請求をする場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない(同条第2項)が、これは会社が上記の拒絶事由が存在するか否かの判断を行うことを容易にするためであるから、単に権利の行使のためといった程度では足りず、具体的な閲覧等の目的を明らかにすることを要する。
3 株主は、株式会社の営業時間内は、いつでも、計算書類等の閲覧または謄本(抄本)の交付の請求をすることができる(会社法第442条第3項)。
ここでいう「計算書類等」とは、各事業年度に係る計算書類(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書及び個別注記表)及び事業報告並びにこれらの附属明細書等である(同法第442条第1項、同法第435条第2項、会社計算規則第59条第1項)。
なお、計算書類等の閲覧または謄本(抄本)の交付の請求をする際に、その理由を明らかにすることは求められていない。
4 総株主の議決権の100分の3以上の議決権を有する株主または発行済株式の100分の3以上の数の株式を有する株主は、株式会社の営業時間内は、いつでも、会計帳簿またはこれに関する資料の閲覧または謄写の請求をすることができる(会社法第433条第1項)。
ここでいう「会計帳簿」とは、計算書類及びその附属明細書の作成の基礎となる帳簿(仕訳帳、総勘定元帳、補助簿(現金出納帳、売上帳、仕入帳、売掛金元帳、買掛金元帳等))をいい、「これに関する資料」とは、会計帳簿作成に当たり直接の資料となった書類、その他会計帳簿を実質的に補充する書類(伝票、領収書、契約書等)をいう。
もっとも、会計帳簿の閲覧・謄写請求が行われることにより、会社業務の円滑な執行を阻害する危険や、企業秘密が漏洩する危険があることから、一定の拒絶事由(同条第2項各号)に該当する場合、会社は、同請求を拒むことができるとされている。
そして、会計帳簿の閲覧・謄写の請求をする際には、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない(同条第1項)が、これは会社が上記の拒絶事由が存在するか否かの判断や、閲覧させるべき会計帳簿またはこれに関する資料の範囲に関する判断を行うことを容易にするためであるから、閲覧目的及び閲覧させるべき会計帳簿またはこれに関する資料の範囲を会社が認識することができる程度に具体的な理由を明らかにすることを要する。