弁護士監修の各種書式をご紹介しています。
当サイトに掲載している情報は、すべて参考として紹介しているものです。これらの情報をご利用になることで発生したトラブルや損失に対して、当事務所では一切責任を負いません。
前略 当社は、貴殿が令和○○年○○月○○日に○○○○氏から取得された当社株式(普通株式○,○○○,○○○株。以下「本件株式」といいます)につき、令和○○年○○月○○日開催の当社株主総会において、当社が買い取ることを決定いたしました。
つきましては、本件株式を当社に売り渡されるよう、供託を証する書面を添付の上、本書面をもって請求いたします。
(※以下は株券発行会社の場合)
なお、本書面を受領してから1週間以内に、本件株式の株券を当社本店所在地の供託所に供託いただいた上、当社に対し、遅滞なくその旨をご通知ください。
令和○○年○○月○○日
○○県○○市○○町○丁目○番○号
○○○○株式会社
代表取締役○○○○
○○県○○市○○町○○○番地
○○○○殿
解説
会社の承認を得ないで譲渡制限株式が譲渡され、これを取得した者が株式の取得の承認を請求するとともに、承認しないときは当該株式を会社か指定買取人が買い取ることを請求した場合(会社法第138条第2号ハ)、会社は、取得を承認するか否か(承認機関は、定款に別段の定めのない限り、取締役会設置会社では取締役会、取締役会を設置しない会社では株主総会となる。)の決定内容を、譲渡等承認請求者に通知し(同法第139条第2項)、会社が取得を承認しない旨の決定をしたときは、会社自ら当該株式を買い取るか(同法第140条第1項)、他に譲渡の相手方(指定買取人)を指定する(同条第4項)ことを要する。会社が当該株式を買い取る場合、会社にとっては自己株式の有償取得となるため、①会社が当該株式を買い取る旨、②買い取る対象株式の数(種類株式発行会社にあっては、対象株式の種類及び種類ごとの数)を、株主総会の特別決議により定めなければならない(同法140条第2項、同条第1項、309条第2項第1号)。
上記により自ら株式を買い取ることを決定した会社は、譲渡等承認請求者に対して、上記①②を通知することを要する(同法第141条第1項、第140条1項)。
本書式は、会社が当該通知を行う場合の文例である。
この通知の際に、最終の貸借対照表による譲渡株式の簿価に相当する額(一株当たり純資産額に対象株式の数を乗じて得た額)を、一応の売買価格として、会社の本店所在地の供託所に供託し、これを証する書面を添付して、自ら売買代金を支払う資力があることを示す必要がある(同法第141条第2項)。
さらに、株券発行会社の場合、譲渡等承認請求者は、当該株券発行会社から上記供託を証する書面の交付を受けた日から1週間以内に、対象株式に係る株券を当該株券発行会社の本店所在地の供託所に供託した上、当該株券発行会社に対し、遅滞なくその旨を通知しなければならない(同法141条第3項)。本文例では、会社法上求められているわけではないが、念のため、会社から譲渡等承認請求者に対し、その旨を知らせている。
なお、譲渡を承認しない旨を通知してから40日(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)以内に、会社が株式を買い取る旨の通知をしないときは、会社は譲渡を承認したものとみなされる(同法第145条第2号)。ただし、株式会社と譲渡等承認請求者との合意により別段の定めをしたときは除く(同条ただし書き)。
朝日中央綜合法律事務所への
ご相談受付はこちら