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第〇条 当会社の株式を譲渡により取得するには、取締役会の承認を受けなければならない。
2 次の各号に掲げる場合には、前項の承認があったものとみなす。
(1) 株主間の譲渡
(2) 当会社の役員または従業員を譲受人とする譲渡
3 取締役会が第1項の承認をしない場合、代表取締役は指定買取人を定めることができる。
解説
(株式の譲渡制限に関する規定の概要)
株式は原則として自由に譲渡することができる(会社法第127条)。所有と経営が分離している株式会社においては株主の個性は重要ではなく、自由に譲渡を認めたとしても問題はないこと、株式会社において株主は自由に出資の払戻しをすることができないため、株主の投下資本回収の手段を確保する必要があることからである。
しかし、株式会社の中でも株主の数が少ない中小規模の会社においては、経営の安定を保持するため会社にとって好ましくない者が株主となることを防止する要請があることから、譲渡による株式の取得について会社の承認を要する旨の定款の定めを設けることが認められている(同法第107条第1項第1号、同条第2項第1号、同法第108条第1項第4号、同条第2項第4号)。このような譲渡に制限がついた株式を、譲渡制限株式という。
この場合、譲渡を承認する機関は、取締役会設置会社においては取締役会(取締役会非設置会社では株主総会。なお、定款に別段の定めのない限り、普通決議で足りる(同法309条第1項)。)であるが、定款で別の承認機関を定めること(例えば、承認機関を代表取締役としたり、取締役会設置会社においても承認機関を株主総会としたりすること)もできる(同法第139条第1項)。
また、譲受人の類型によっては会社にとって好ましくない者ではないと想定される場合があることから、本書式のようにあらかじめ定款で定める一定の場合には、会社が譲渡承認をしたものとみなすことも可能である(同法第107条第2項第1号ロ、同法第108条第2項第4号)。
さらに、会社が譲渡の承認をしない場合であって承認請求者が請求する場合には、会社自らが当該株式を買い取ることが原則である(同法第140条第1項)が、あらかじめ買取人を指定することもできる(同法第140条第4項)。買取人の指定は、取締役会設置会社においては取締役会の決議(取締役会非設置会社では株主総会の特別決議(同法309条第2項第1号))によるが、本書式のように定款で別段の定めをすることも可能である(同法第140条第5項)。
(印 紙)
定款は、印紙税法第2条所定の別表第一の6号で定める文書に該当する。印紙税の課される定款は、会社の設立のときに作成される定款の原本に限られ、貼付印紙額は1通につき4万円である(電子定款による場合は不要。)。その他印紙については、印紙税法第2条、別表第一を参照されたい。
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